「多瑪書屋」…たましょおく… と読みますが、これはいったい何でしょう?
昭和期の経済学者で一橋大学名誉教授だった故上田辰之助博士の業績と人柄をしのび、昭和53年に、門下生たちが建てた石碑のことです。「多瑪書屋」とは、聖トマス館の漢訳で、博士がライフワークとした「トマス・アクイナスの経済思想」の研究にちなみ、博士の書斎をトマス館と名付けたことに由来しています。 場所は五日市街道と吉祥寺通リの交差点をさらに北へいき、練馬区との境にあたる東町2丁目のかっての住居跡に、7本の杉木立にかこまれ、ひっそリと建っています。碑面にはめこまれた上田夫妻の胸像と経歴があります。 二人とも若々しく、はつらつとした素敵なお顔です。武蔵野の自然のなかで、心ゆくまで散策を楽しみ、訪れる者を拒まず、ユーモアとウイットに富んだ話しぶリなど、博士は誰からも慕われたということです。碑の裏面、多瑪書屋の書体は、かってトマス館入口に掲げられていたそのままを刻んだもの。子どものいなかった夫妻の居宅は国有財産となリ、いま建物はとリこわされて「武蔵野上田外国人教師宿舎」となっています。
(注)…トマス・アクィナス…イタリヤの神学者、哲学者。ドミニコ教団に所属。スコラ哲学の完成者。アリストテレス哲学と神学との調和をはかり、壮大な体系を構築し、カトリック教会の権威とされた。
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