吉 祥 寺 圏
安養寺の甲辛供養塔(吉祥寺本町1-1-21)

桜が散って、葉桜に変わる頃から咲き始める安養寺参道のボタン園、薄く重なる花びらは、雪を丸めた純白色、煮アズキの赤色、あでやかな桃色、レモン黄色などで彩られます。

寛永元年(1642年)、深忍法印によって開かれた真言宗豊山派の密教寺は、5月初旬まで、ボタンの花で美しく飾られます。大門前の左側に、吉祥寺村の歴史を伝える甲辛供養塔は、高さ117センチ、幅39.5センチ、厚さ13センチで、寛文5年(1665年)代官・野村彦太夫により建てられました。

新田開発にかかわる30数人の名前が刻まれ、なかには女姓名もあります。供養塔の主尊は、「南無阿弥施仏」と表わされた珍しい文字塔ですが、昭和47年3月、市文化財に指定されました。向かい側にあるのが高さ75センチの六地蔵像で、手に笏や丈、数珠などを持ち風格のあるお顔です。

市内唯一の梵鐘は境内右手の奥にあります。安永2年(1773年)境村の鋳物師・高橋甚右衛門の製作によるものです。高度な技術者がいた貴重な資料として、昭和46年4月市重宝の指定を受けました。材質は鋳銅製、身高102.5センチ、口径69センチ、12月31日には、多くの人で賑わいます。除夜の鐘を地元で体験しましょう。

(注)安養寺は多摩新四国八十八ヶ所札所の第一番目にあたります。これは多摩地域の真言宗寺院で編成し、弘法大師の教えを深めようというものです。